日本酒
読み方:にほんしゅ
同義語:酒・和酒・清酒・般若湯〔はんにゃとう〕・御酒
酒とは、白米を蒸して麹〔こうじ〕(※)と水を加えて発酵・熟成させて作る飲み物の事で、料理の調味料としても用いられます。また酒は百薬の長と言われ、適量飲酒を心がけていれば非常に健康に良いとも言われています。日本全国で様々な種類の酒が製造されており、各地の地酒として特色のある商品が流通しています。
※麹…米・麦・豆などを蒸したものに麹菌を繁殖させたもので、酒・醤油・味噌などを製造するのに用います。
適量飲酒を心がければ健康に
昔から酒は人生の慶事や祝い事になくてはならないもので、もともとは御神酒〔おみき〕と言って神様に奉る神聖な飲み物でした。現在でも結婚式で行われる三々九度や家を新築する時に行われる儀式、お正月に飲むお屠蘇〔とそ〕などにその名残があります。また適量飲酒を心がけていれば健康面にも非常に効果的です。酒にはたくさんの酵素が含まれていて、それらの酵素が、ガンや生活習慣病の予防をする働きをします。また酒には体を温めたり、保湿の働きをする成分も含まれているので、美肌・保湿効果など女性にとって嬉しい効果もあります。あくまでも適量飲酒を前提としているので、飲みすぎは逆効果になります。日本人が1日に摂取する適量は、日本酒1合〜2合程度で、食事をしながら飲むのが良いとされています。これは、空腹時に飲酒すると肝臓へ負担をかけすぎてしまう為です。また、料理の素材の味や香りを引き立てるとして、様々な料理の調味料としても日常的に用いられています。
もともとはハレの日の飲み物
日本で酒造りが始まったのは、縄文時代以降〜弥生時代にかけての事です。大陸から稲作が渡来した後、九州・近畿地方で行われていたと考えられています。大和時代(4〜6世紀)に、酒造りは徐々に国内に広まっていきました。奈良時代(710年〜794年)に現在の酒造りのもとになる醸造法が中国から伝わり、平安時代には色々なタイプの酒が造られるようになりました。しかしこの時代、酒は宗教的な儀式に用いられたり、慶事や祝い事(ハレの日)に飲む事がほとんどで、頻繁に庶民の口に入ることはありませんでした。
鎌倉時代になり、それまで朝廷の機関でしか行われていなかった酒造りが寺院・神社で行われるようになりました。その当時、寺院には民衆からの年貢米が納められていました。更に酒造りに必要な湧き水・井戸水、広いスペースもあり、その上、寺社にはたくさんの労働力や明晰な頭脳を持った僧侶達がいました。僧侶達はこのような酒造りに格好の条件を生かして醸造技術を磨いていたと考えられています。当時、人々の生活に密接していた寺院・神社で酒が振舞われ、人々はハレの日以外にも酒を飲むようになりました。江戸時代に入ると酒を造って売る酒屋が出現するようになりました。各地に造り酒屋が登場したことで酒が商品として流通するようになり、一般庶民でも簡単に酒が手に入るようになりました。
香りと味わいで4種類に分類
日本酒は、香りと味わいの要素から4タイプに分類されます。
薫酒〔くんしゅ〕
吟醸酒(※1)と言われるタイプのもので、果実や花のような華やかな香りが高く、爽やかな味わいが特徴です。
爽酒〔そうしゅ〕
生酒(※2)などで、香りは全体的に控えめで、新鮮で清涼感のあるみずみずしい味わいが特徴です。冷酒として飲むのが適していると言われています。
醇酒〔じゅんしゅ〕
純米酒(※3)などで、米のふくよかな香りと、旨味を感じさせるコクのある味わいが特徴です。熱燗として飲むのが適しています。
熟酒〔じゅくしゅ〕
長期熟成酒や古酒などで、とろりとした甘味や深い酸味、旨味が合わさった力強い味わいが特徴です。
※1.吟醸酒…精米歩合60%以下の白米と米麹及び水、醸造アルコールを原料とし、低温で発酵させ吟味して醸造したお酒です。
※2.生酒…製成後、一切加熱処理をしない酒の事で、しぼりたてのフレッシュでフルーティな香味が特徴のお酒です。
※3.純米酒…米、米麹、および水を原料にして製造した清酒で、濃厚でしっかりとした味のお酒です。