醤油
読み方:しょうゆ
関連語:米
醤油とは、大豆と小麦で作った麹〔こうじ〕(※)と塩水を発酵・熟成させて作る、黒茶色の調味料の事です。和食の調理には欠かせない調味料で、醤油を使う事によって、味に深みや旨みをだす事ができます。
「こいくち」「うすくち」など五種類の醤油があります。
※麹…米・麦・豆などを蒸したものに麹菌を繁殖させたもので、酒・醤油・味噌などを製造するのに用います。
5つの味がバランス良く含まれている調味料
醤油は和食調味料の代表格です。材料の下ごしらえや調理、仕上げなど醤油を使う事によって味に独特の深みやうま味を加えることができます。醤油には、おいしさの五原味〔ごげんみ〕である甘味・酸味・塩味・苦味・うま味がバランス良く含まれています。これは大豆と小麦に含まれる成分が、醸造〔じょうぞう〕(※)期間中にさまざまな味の成分に生まれ変わり、それらが作用しあって誕生したものです。そして醤油には人々の食欲をそそる香りの成分が300種類以上も含まれていて、加熱する事によってさらに香りが引き立ちます。また醤油には消臭効果の働きをする成分が含まれており、魚や肉の生臭さを消す事ができます。刺身を醤油につけて食べるのは生魚の生臭さを消すためです。
※醸造…発酵・熟成などの作用によって、酒・味噌・醤油などをつくること。
偶然の産物だった醤油
日本で醤油が誕生したのは鎌倉時代の事です。禅宗の僧侶であった覚心〔かくしん〕という人物が中国から持ち帰った味噌の製法を人々に伝授している時に、たまたま仕込みの間違いで水分の多い味噌ができてしまい、その水分を舐めてみたらとてもおいしかった、というのが始まりです。これ以降、わざと水分の多い味噌を作るようになり、今の「たまり醤油」に近いものが生産されるようになりました。一般庶民に醤油が広まったのは、各地で醤油生産が行われるようになった戦国時代から江戸時代にかけての事です。当時、文化の中心であった上方(近畿地方)で生産される醤油は高級品とみなされ、江戸へ運ばれていました。しかし次第に江戸の町民文化の下でより味が濃く香り高い「江戸前しょうゆ(現在の「こいくち醤油」)」が作られるようになり、明治時代以降「こいくち醤油」が全国的に広まりました。「こいくち醤油」の普及により醤油は庶民の食生活に欠かせないものになりました。現在では日本の伝統的な調味料として世界各国に輸出されています。
味・香り・色の違う五種類の醤油
醤油には五つの種類があります。
・こいくち醤油
最も全国的に普及している醤油です。味の五原味をバランス良く持ち合わせ、どんな料理にも良く合います。特にクセの強い魚や肉料理には最適です。
・うすくち醤油
関西で生まれた色の淡い醤油です。こいくち醤油よりも塩分が少し高く、素材の色や風味を生かして仕上げる調理に使われています。特にすまし汁やおでん、うどんのつゆには最適です。
・たまり醤油
主に中部地方(愛知・岐阜・三重)で製造されている醤油です。とろみと濃厚な旨味、独特な香りがあります。主に刺身や寿司のつけ醤油として使われています。
・再仕込み醤油
山口県中心に山陰・九州地方で製造されている醤油です。味に甘味があり、色・香りも濃厚です。「甘露〔かんろ〕しょうゆ」とも言われ、主に刺身や寿司のつけ醤油使われています。
・白醤油
愛知県碧南〔へきなん〕地方の特産で、淡い「あめ色」をした醤油です。甘味が強いのが特徴で、主に茶碗蒸やうどんのつゆなどに使われています。