味醂
読み方:みりん
みりんは餅米・米麹〔こめこうじ〕・焼酎を原料として製造される酒類で、調味料として広く使用されています。甘みのある淡黄色の液体で、料理に「照り」や「つや」を出し、隠し味として用いられています。現在、市場には「本みりん」・「みりん風調味料(※)」が流通しており、醤油・味噌などと並んで日本料理に欠かせない存在です。
※みりん風調味料…酒税のかからない1%未満のアルコールに、みりんの風味に似せて化学調味料や水飴等の糖分その他を加えたもの。
酒類に分類される「みりん」
みりんは、糖分の高い酒類です。主に調味料として用いられ、通常は飲用しません。但しお正月に飲む屠蘇〔とそ〕はみりんをお酒として飲用します。調味料としては、煮物や蕎麦つゆ、蒲焼のタレや照焼きのつや出しなどに使用されています。みりんのアルコール分には魚や肉の生臭さを抑え、食材に味が浸透しやすくする効果があります。また、食材の煮崩れを防ぎ、料理にコクや旨みを出すための隠し味としても用いられいています。
みりんは酒類なので酒税法により、酒税がかけられています。酒類の取り扱いのできない量販店では「みりん」を取り扱う事ができないので、酒税のかからない「みりん風調味料」が販売されています。
女性に人気の甘いお酒
日本で初めてみりんが造られるようになったのは、今から400年程前の慶長年間(1590年代)であると言われています。この当時は甘みのある高級な酒として人々に嗜〔たしな〕まれていました。江戸時代に入り、みりんは「美淋酒・蜜淋酒」と書かれ、お酒に弱い人や女性に人気の酒として広まりました。その後、江戸時代中期から後期にかけて、蕎麦つゆや蒲焼のたれとして用いられるようになり、徐々に調味料として使われはじめました。その後も料亭を中心に高級調味料として使用され、和食の味付けに欠かせない調味料になっていきました。現在のように一般家庭でも頻繁にみりんが使用されるようになったのは戦後になってからの事です。
隠し味の他にも色々な効果
みりんの効果を紹介します。
・「上品な甘味」
本みりんの甘味の主成分は「ブドウ糖」です。砂糖に比べて後味の良いさっぱりとした上品な甘味を持っています。また、本みりんの糖分はブドウ糖だけでなく、9種類以上の糖が含まれているため、コクとまるみのある深い甘みを感じる事ができます。
・「照り・つや」
糖分が素材の表面に膜を作り、水分や美味しさを保ち、食材に「照り・つや」を出します。
・「旨味が材料に浸透」
アルコール成分が、食材へ味の浸透を早める働きをします。そして旨味成分を素材に閉じこめる効果もあります。
・「煮くずれ防止」
アルコール成分が食材の煮くずれの原因である物質を溶けにくくして煮くずれを防ぎます。