簾
読み方:すだれ
関連語:よしず
簾は、日差しを避けつつ風を通すという、一石二鳥の便利な道具です。現在でも和風の住宅では主に窓の外に外掛け用として使われています。歴史のある住宅や、川に面した住宅に簾がかかっているのを見ると、とても風流に感じるものです。近年のアジアンブームや、癒しブームにより、本来の目的ではありませんがインテリアとしても人気があります。
一石二鳥
簾は、窓の外に垂らして日光や外部からの目線を遮るとともに、竹の隙間からの風により、涼を取ることも可能です。
以前の日本の住宅は軒が深く、軒先にすだれをかけることによって広範囲の日陰を作ることができました。現在の日本の住宅は、軒が短いので窓のすぐ外に垂らして使われています。10cmほど離して垂らすことで、窓との間に空気層を作り、熱を遮る効果が生まれます。
住宅の洋式化により、ブラインドやスクリーンが普及しましたが、簾は現在でも多く使われています。
古くから変わることなく
簾は、非常に古い歴史を持っています。簾という言葉は万葉集にも登場しています。
平安時代の貴族の住宅では、現在のドア・引き戸のような部屋同士の仕切りが無く、御簾〔みす〕と呼ばれる、現在の簾の原型となるものを使っていました。基本的な形はほとんど変わっていませんが、「御」という接頭語が示すように、現在のすだれに布地でできた縁をつけ、房を垂らした高級なものでした。現在は竹や葦〔よし〕と、紐だけのシンプルなものが主流です。
シンプルな製法
簾は主に竹で作られています。作り方は、竹を細かく割き、太さをそろえ、綿糸で一本ずつ編んでいきます。竹製のものは高級品とされ、室外向けの使用には、葦製のものを多用します。現在は、ビニール製のすだれもあります。
貴族の使い方
平安時代の寝殿造りの住宅では、簾台〔れんだい〕(簾を掛けるための木の枠。簾をかけたものを目隠しや仕切りとして使用した。)に掛けたり、長押〔なげし〕(障子や襖〔ふすま〕の上や和室の柱と柱の間に架かっている横材)にかけて使用していました。