大正琴
読み方:たいしょうこと
大正時代に名古屋で生まれた楽器で演歌の演奏などに使用されます。
数字で表された音階ボタンを押すだけで弾く事ができるので、誰でも容易に楽しめる楽器として広く普及しました。
ヒントはタイプライター
もともと日本にあった一絃琴や二絃琴と呼ばれる楽器をベースにしています。
筝の音色やハワイアンスチールギターの奏法、ピアノの鍵盤〔けんばん〕のアイデアを工夫し、タイプライターのキーボタンを音階ボタンとして組み合わせることにより誕生した楽器です。
弦を指で押さえる代わりに、番号の付いた音階ボタンを押さえて容易に音階が弾けるため大衆に広く普及しました。
日本から世界へ
森田五郎という人物が発明し、大正元年に発売された楽器で、当時、一家に一台と言われる程日本中で大ブレイクしました。 また、日本からシルクロードを西に向けて伝わり、パキスタン地方のイスラム宗教的唱歌やベンガル・カシミール地方の民謡音楽に使われるなど、日本からシルクロードへ渡り世界へと広がる唯一の楽器です。 現在では、電子大正琴も発売され、生涯楽しめる楽器として見直されています。
誰でも気軽に
弦はスチール弦で、それまでの邦楽器とは全く異質の電気音に近い澄んだシャープな音色のする楽器です。
左手でボタンを押さえ、右手で弦を弾いて演奏します。
五線譜が読めなくても数字で音階が弾けるので、素人でも簡単に演奏できる楽器で、高年齢の女性が特に愛好しています。
■参考文献・ウェブサイト
- 『日本音楽大辞典』 平野健次・上参郷祐康・蒲生郷昭 平凡社 1989
- 邦楽百科辞典―雅楽から民謡まで 吉川英史 音楽之友社 1984
- 株式会社ナルダン楽器『名古屋発祥の楽器 大正琴。』1999(2004.7.1)