産着
読み方:うぶぎ
同義語:産衣
関連後:お宮参り
[子供用]
産着は赤ちゃんが生まれて初めて袖を通す伝統的な着物です。生まれて数日後にくるまれる麻素材の産着の他に、生まれて約1ヶ月後のお宮参り(初宮参り)で着用する七五三着物のような華やかな産着(初着)〔うぶぎ〕の2種類があります。産着には赤ちゃんが健やかに育つようにとの願いがこもっています。
初めての着物
赤ちゃんが生まれた直後に初めて袖を通す服はガーゼで作られた産着です。それから2〜3日経つと、麻で作られた産着に変わります。麻の産着には、麻の葉を図案化した正六角形の模様(左の画像)が描かれています。麻はすくすくと真っすぐに伸びることから、赤ちゃんの成長を願う意味をこめて描かれています。
また、誕生から約1ヶ月後に「お宮参り」と言って赤ちゃんが生まれた事を神様に報告する儀式があります。この時に着る(かける)華やかな着物も産着(初着)と呼ばれます。女の子なら赤の着物、男の子なら青か黄色の着物が一般的です。女の子は手毬〔てまり〕や小鼓〔こづつみ〕などの可愛らしく縁起の良い模様が多く、男の子では兜〔かぶと〕や鷹〔たか〕のような凛々しい模様が多いようです。また、お宮参りでの産着は七五三の着物のように振袖のついた仕立てになっています。
子の成長を願う
産着の習慣が広まったのは江戸時代頃と言われています。麻素材の産着は、赤ちゃんの成長を願うという意味以外に、麻の香りが虫除けになるという一面を持っています。また、産着に刺繍されている麻の葉模様は、災いを防ぐお守りとされており、昔は生まれて来る子供のために母親が一針一針刺繍を入れていました。現在では刺繍からプリントへと変化しましたが、様式は変わっても子供を思いやる親の心は変わらず、日本独自の伝統がいまだ受け継がれています。
晴れ着としての産着
お宮参りで晴れ着として着る産着(初着)は、赤青黄色などの華やかなものが良いとされています。産着といってもまだ生後1ヶ月程度の赤ちゃんに帯びを締めるなどしてきちんと着付けることは難しいため、赤ちゃんにはガーゼの長襦袢(着物の際に着る下着のようなもの)を着せ、母親(※)が抱いた状態で上から産着をかける形になります。
※お宮参りでは父方の祖母が赤ちゃんを抱いてお参りするという伝統があります。しかし現在では、母親と赤ちゃんの関係を第一に考え、母親が抱いてお参りすることが一般的になりつつあります。