大洲和紙
読み方:おおずわし
関連語:障子・書道
産地:愛媛
大洲和紙は、質の良さから書道用紙として古くから全国の書道家に愛用されています。明治時代に紙の利益を上げるため品質を落としたことで、一時大洲和紙の評価は下がりました。しかし、三椏を原料とする良質の書道和紙が明治中期に開発されたことで、もとの名声を取り戻し、現在も大洲和紙のかな用書道用紙は日本一といわれています。
日本一の三椏半紙
大洲和紙は質が良いことで評判で、半紙・障子紙・色和紙などに使われます。中でも三椏で漉いたかな用書道半紙はなめらかでにじみにくく、日本一と称されています。また、大洲和紙の書道用紙は紙が生産されてから3〜4年経つと筆の滑りや墨の付き方が良さを増し、独特の味わいがでるそうです。
衰退と復活
古くから紙は大洲の名産でしたが、実質的には元禄年間(1688〜1704)に宗昌禅定門が越前奉書の技術を導入したときに始まります。それが大洲藩の重要産業となり、宝暦7年(1757)からは原料と製品を統制することとなりました。明治時代に入り藩の専売制はなくなり、資金の流通、材料の供給が途絶しました。そこで粗悪な原料を混入して利益をあげようとしたことで一時声価を失いました。しかし、明治中期に三椏で漉いたなめらかでにじまない改良半紙を開発したことで大洲和紙は復活しました。
脱水時間が決め手
大洲和紙の古くは楮を主な原料とし、漉かれていました。明治以降は三椏を原料とした書道半紙の生産が盛んです。
大洲和紙は桁をはめこんだスダレによって紙漉きを行います。水に溶け込んだ紙料の入った桁はかなりの重さですが、竹の適度な弾力がバネ変わりになり、コツを覚えれば女性でも揺することができるようになっています。漉いた紙は一晩寝かせて、翌日じっくり脱水を行います。障子用のものは3時間、書道用半紙の場合は丸1日かけます。これが大洲和紙の品質を左右する大切な工程になっています。
■参考文献・ウェブサイト
- 和紙文化辞典 久米康夫 株式会社わがみ堂 1995
- 日本の伝統工芸品産業全集 犬丸直 吉田光邦 ダイヤモンド社 1992
- 紙漉屋みやべ『みやべHomePage』(2004.06.23)