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阿波和紙

読み方:あわわし・あわがみ

阿波和紙の画像

産地:徳島
特産の藍を使った染紙が多く作られました。また、黄蘗〔きはだ・おうばく〕や千振〔せんぶり〕を使って染めた紙には防虫効果があり、記録用紙として使われました。現在は独特の藍染加工法により、2次加工品として壁紙、襖紙などのインテリア用品、色紙・財布などの手芸品材料、便箋・封筒などの書簡用紙など様々な用途に用いられています。

用途・特徴独創性溢れる民芸紙

阿波(徳島県)の麻植〔おえ〕郡山川町を中核として漉かれた紙で、地元特産の藍を使った染紙が多くつくられました。髪の髻〔もとどり・たぶさ〕(髪の毛を頂に集めてたばねた所)を束ねるために使われる元結紙〔もとゆいがみ〕や畳紙〔たとうし〕(畳んで懐に入れ、鼻紙にしたり歌を書いたりした紙。あるいは厚紙に漆・渋などを塗り、畳んで衣類・女性の結髪具などを入れるようにしたもの)が染紙として生産され、その素朴な味わいが好まれました。

その後独自の藍染法が開発され、現在2次加工品として壁紙、襖紙などのインテリア用品、色紙・財布などの手芸品材料、便箋・封筒などの書簡用紙など用途の幅を大きく広げています。

起源・歴史阿波和紙の衰退を防いだ「藍染技法」

阿波国で紙の生産が始まったのがいつ頃のことかは正確には把握できませんが、最も古いものでは大同年間(806〜810)の「延喜式」に年料別貢雑物として「紙麻七十斤、斐紙麻百斤」を貢納したという記録が残されているようです。藩の政策として、とりわけ製紙業に力を入れはじめたのは寛永13年(1636)2代藩主至鎮〔よししげ〕のとき、農家の副業に紙づくりを奨励したことに始まります。近世の藩政に特徴的な専売制は徳島藩では享保年間(1716〜1736)に導入されました。

1920年代に藍染で人気のあった元結紙の製造が終了し、阿波和紙は衰退するかと思われましたが、県の工業試験場が、藍一色だけでなく花柄などの模様にも加工できる「建染法」という画期的な方法を発見し、民芸風な味わいをもった新しい阿波和紙が誕生しました。

原料・漉き方画期的な藍染加工

阿波和紙は主に楮を原料とし、三椏・雁皮などをトロロアオイの根で作った粘液で混ぜ合わせます。

楮〔こうぞ〕・三椏〔みつまた〕・雁皮〔がんぴ〕から繊維を取り出し、紙漉きをします。最も重要な作業はこの手作業による紙漉きで、竹やかやで作った簀〔す〕で流し漉きを行います。また、阿波和紙の得意とする藍染加工は、現在「建染法」という加工法によって生産されています。これは、漉き上がった白和紙を繰り返し藍汁の中に浸すもので、藍一色のものから花柄などの模様にも加工できるという画期的な方法です。

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