覗きからくり
読み方:のぞきからくり
「のぞきからくり」 とは、のぞき穴のある箱の中にストーリー仕立てにした絵(名所の風景や絵)が何枚も仕掛けられていて、 口上〔こうじょう〕(説明)する人の話に合わせて、その立体的で写実的な絵が入れ替わって行く見世物です。
衝撃!!絵が動く!
江戸時代の人にとって、絵が動くという事は考えられませんでした。
そんな時代に現れた、この「のぞきからくり」は、瞬く間に人々の評判を呼び、町の名所案内などに使われていました。 その後、だんだんとストーリーのある芝居物が取り入れられ、民衆の人気を得ました。
オランダから伝わったレンズ
レンズのはめこまれた木枠を通して絵を見る風習は江戸時代にオランダから日本に伝わりました。
中国ではすでに「のぞきからくり」に似たような物がありましたが、日本では江戸時代にのぞきメガネというレンズを通して平面の絵が立体的に見えるカラクリを見たのが始まりです。
その後、明治時代に完成し、大正〜昭和戦前にかけて、一般大衆に広く親しまれた娯楽になりました。 しかし、戦後、テレビや映画の普及によって、急激に姿を消し、現在残っている「のぞきからくり」は全国でも数台しかありません。
大人から子供まで楽しむために
のぞきからくりはのぞき穴のあいた箱に絵が仕掛けられているという、非常に単純な構造です。
ストーリー仕立てにした絵を仕掛けた箱の上下に、メガネのレンズまたはガラス玉の張った二つの覗き穴がついています。 レンズやガラス玉を通して覗くと、箱の中の正面にある絵が拡大されて見え、10枚程の絵が一枚ずつ物語に合わせて変える事によってストーリーを楽しむしかけになっています。 上は大人が覗く用に、下は子供が覗けるように工夫され、大人から子供まで楽しめる娯楽として発展しました。
■参考文献・ウェブサイト
- 大道芸・寄席芸 日本の伝統芸能7 大野桂 小峰書店 1995
- 図説庶民芸能-江戸の見世物 古河三樹 雄山閣BOOKS 1993