柔術
読み方:じゅうじゅつ
柔術は単なる一つの武道ではなく、現在繁栄している日本武道の父とも言うべき存在です。柔道や合気道の源流とされるばかりか、空手など様々な武術に影響を与えています。また、現在ではブラジリアン柔術に代表されるように、海外で格闘技としてアレンジされ、人気を博しています。
柔道・合気道の「父」
人々によく認知されている柔道は、実は柔術の異なる二流派が合わさってできたものです。柔術には多様な流派があり、その内の投げ技中心の流派と締め技・固め技中心の流派が結びつき、柔道が確立されました。「柔よく剛を制す」の語源も柔術にあり、その影響力は多大なものがあります。
武器を使わない武術のまさに王道である柔術は、最近では格闘技や護身術として応用されています。しかしその中には、お互いを尊重し、敬い合う「相互理解」と、自分を律し、誠実な行動を取る「自己抑制」、そして「心・技・体の調和」を習得するという基本概念もしっかり含まれています。
多種多様な護身術
起源は定かではないですが、成立したのは室町時代頃だと言われています。戦場で組み合ったときに勝つために成立しました。素手もしくは短い武器を持ったときの武術・護身術として武士の間に広まっていました。「組み討ち」、「小具足」、「捕手」、「捕縛」、「白打」、「拳法」、「やわら」、「和術」、「体術」、「柔術」などいろいろと呼び名はありましたが、総称して柔術と呼ぶようになりました。
その後、明治時代に入り西洋文化が盛んに取り入れられ、日本固有の文化が衰退していくのに合わせて、柔術も衰退していきました。現在柔術はブラジルなど海外にも渡り、格闘技として発展しています。
日本では古流武術としての認識が強く、根強く残っている流派もあります。
柔道着より身軽に
装束は柔道着と同じですが、一般的に柔術着は柔道着と比較して、ズボンや袖の丈が細長いです。
投げ・締め・固め
柔術は様々な形態の総称のため、流派ごとに大きく違います。しかし、「素手あるいは短い武器を持って、素手あるいは武器を持っている敵を攻撃し、又は防御する術」という概念はどの流派も同じです。投げ技中心の流派、締め技・固め技中心の流派など様々なものが存在しています。
世界中に広まっている現在の柔術は大会や流派によって大きく異なります。総合格闘技に参加していることが多く、柔術は今また注目を集めています。
■参考文献・ウェブサイト
- 武道文化の研究 入江康平 第一書房 1995
- 「古流武術」『新宿雑技団』2000(2004.04.25)
- F.Kato「柔術」『柔術』(2004.04.25)