柔道
読み方:じゅうどう
「柔よく剛を制す」
相手の力を利用して相手を制する。そうすれば小さい者でも大きな者を倒すことができる。これが柔道の基本理念です。オリンピックのような大きな大会でも小さな日本の選手が大きな海外の選手を投げ飛ばす姿を見ることがあります。まさに基本理念を体現した結果です。
柔よく剛を制す
小さい者が大きい者を投げ飛ばす。「柔よく剛を制す」という思想が示すこのアクションこそが柔道の醍醐味です。創始者の嘉納治五郎が柔術を学び、それを独自に改良し、武道としての精神的な道を確立させ、柔道が誕生しました。理念は「精力善用(※1)」と「自他共栄(※2)」というもので、社会や周囲の人たちに対して、自らの心身がどうあるべきかを示したものです。それを柔道に打ち込むことによって学ぶことが大切だと考えられています。
現在では世界中に広まり、オリンピック競技としても発展し、日本が強さを誇れるスポーツとしても有名です。
※1精力善用・・・自分が持つ心身の力を最大限に使って、社会に対して善い方向に用いること。
※2自他共栄・・・相手に対し、敬い、感謝をすることで信頼し合い、助け合う心を育み、自分だけでなく他人と共に栄えある世の中にしようとすること。
柔術から発展、世界へ
柔道は柔術を母体としています。創始者の嘉納治五郎が柔術の主要な二流派を修行し、それを組み合わせて、当身技、締め技、関節技、投げ技を有する「柔道」を立ち上げました。この明治初期は武士社会が崩壊した時代で、武士のたしなみであった柔術は衰退していました。そこに精神を鍛えるという基本概念を持った嘉納の柔道が登場し、大衆に受け入れられ、発展していきました。
講道館という道場を創設した嘉納は、「精力善用」と「自他共栄」という「柔よく剛を制す」の理念を改良した、柔道を行う物に対する心得を確立させました。そして技術的にも精神的にも発展した柔道が、世界に拡大していったのです。
黒帯は強者の証
柔道着と言われる白い生地の装束を帯で結んで着用します。帯の色は有段者であれば黒となり、それ以外は基本的に白です。
一本、技あり、有効
投げ技や固め技を駆使して戦います。その際、「一本」を取れば勝ちになります。「一本」は投げられた際、大体あおむけになるか、固められて「まいった」と発するか、30秒以上経過した時に成立します。その他にも「技あり」、「有効」などのポイント制の判定があります。
日本古来の柔道着は白色でしたが、最近では色の着いた柔道着も世界の公式の場で見られるようになりました。日本古来の「武道としての柔道」と世界の「スポーツとしての柔道」では少し概念の違いが出てきています。
■参考文献・ウェブサイト
- 武道文化の探求 入江康平 不味堂出版 2003
- 財団法人全日本柔道連盟「財団法人全日本柔道連盟」『財団法人全日本柔道連盟』2004(2004.04.25)