お辞儀と握手
読み方:おじぎとあくしゅ
関連語:あいさつ・正座・名刺
両者とも挨拶として行われる一方、お辞儀は相手への敬意を表し、握手は親睦・和解の表現として行われるという微妙な違いがあります。
日本の挨拶の代表格であるお辞儀は主に東アジアで見られるものですが、西洋でも行われます。西洋の挨拶は握手がメインですが、女性が男性に、または女性同士の場合には握手をせずに軽くおじぎをすることが多いようです。
礼三息で丁寧なお辞儀
お辞儀には「立礼〔りつれい〕」、「座礼〔ざれい〕」の2種類があり、また礼の深さで分類すると「最敬礼」「敬礼」「会釈」の3種類があります。「礼三息〔れいさんそく〕」という言葉があり、息を吸いながら腰から上を前に倒し、止まったところで息を吐き、そして再び息を吸いながら元の姿勢にもどります。これをすると大変丁寧な印象を与え、また自分自身の精神状態を落ち着かせる効果もあるようです。
また握手は、一般的に右手で立って行うのが一般的です。日本人の中には座りながら握手をする人がいるかもしれませんが、これは本場西洋では行われないようです。
敵意がないことを示す
お辞儀は自分の首を差し出して、相手に対して敵意がないことを表現したことに由来するといわれます。飛鳥〜奈良時代、中国の礼法を取り入れ、身分に応じたお辞儀の形が制定されたのがお辞儀の始まりといわれています。
日本での丁寧な挨拶はお辞儀が一般的でしたが、近年では西欧文化の浸透により、握手も一般化してきているようです。握手の由来は諸説ありますが、手に武器を持っていないことを証明することから始まったと広くいわれます。それによると武器を持つであろう利き手は右手の人が多いため、握手をする手は右手になったのだそうです。
お辞儀と握手は同時にしないように
頭を下げるだけのお辞儀はあまり良くないといいます。これだとお辞儀をし足りなかったと思い、何回も頭を下げてしまうこともあるでしょう。そうなると敬意や奥床しさ(深い心づかい)、丁寧さなど、本来お辞儀で伝えられるべきものが伝わりません。立礼の場合、「最敬礼」は直立の姿勢から腰を基点に45度以上体を曲げます。「敬礼」は30〜45度、「会釈」は15度程度です。「最敬礼」は日常ではあまり見られませんが、謝罪する時や本当に心から感謝の意を表したい時、また神前や仏前など儀式的な場面で用いられます。
握手は背筋を伸ばし、必ず相手の顔(目)を見て行います。強すぎず、緩すぎないように握ります。強すぎては相手に不快感を与え、また緩すぎても好意を表せません。アメリカでは弱い握手は「Dead-fish handshake」と呼ばれ、死んだ魚を握るようで気持ちが悪いと言われているようです。お辞儀をしながら握手をするのは卑屈に見えるので、あまりしない方がいいでしょう。
■参考文献・ウェブサイト
- 美しいふるまい―小笠原流礼... 小笠原敬承斎 淡交社 1999
- いま生きる礼儀作法ラッコブックス 柴崎直人 新潮社 2000
- 「握手の仕方」『生活知恵袋』2002(2004/11)