Home仕事 ≫ 表具師

表具師

読み:ひょうぐし
別名:経師屋〔きょうじや〕・大経師〔だいきょうじ〕
関連: 障子書道和紙

表具師の画像

表具師とは、掛け軸や額を作ったり、襖〔ふすま〕や屏風〔びょうぶ〕を仕立てたりする職人の事です。仏教の伝来とともに日本に伝わり、仏教と深い関わりがあります。特に昔から寺社の多い京都で発展しました。

特徴多岐にわたる仕事

表具師の仕事は和紙を糊で何枚も貼り合わせ加湿と乾燥を繰り返してモノを作り上げていく仕事です。その仕事内容は多岐にわたっています。まず、痛んだ掛け軸や屏風、額などを修復し、新たに鑑賞・保存できるように表装をする仕事。次に、依頼人の書いた書や日本画を預かって掛け軸や額、屏風などに仕上げる仕事。そして、襖や障子・屏風などの建具関係の新調や修理、張り替えの仕事も行います。どの作業も非常に複雑で経験と熟練した腕が必要となってきます。そして貴重な美術品を扱う事もあるため、常に細心の注意が必要になり、美術に関する知識や材料、形式、配色の考案に際しての感覚も不可欠です。

起源・歴史仏教の伝来とともに伝わった

表具師という職業が日本の歴史に登場するようになったのは、奈良・平安時代のことです。主に仏教の布教に使われた経本を巻物にしたり、礼拝用の仏を描いた仏像画などを作る仕事をしてたようです。特に貴族、寺社、武家、町衆それぞれの日本文化の発信地であった京都を中心に発達したと考えられています。その後、鎌倉時代から室町時代にかけて、日本独自の室内様式である「床の間」文化の完成により、床の間に飾る装飾品として掛け軸が広まりました。当時の掛け軸は禅宗に関わる書画(文字と絵)の物が多かったようです。これと同時期に屏風〔びょうぶ〕や襖〔ふすま〕、障子の様式も確立し、江戸時代に入ると表具師の仕事は掛軸の製作、屏風や襖、障子の仕立てを中心としたものとなりました。明治以降、日本画文化の発展により表具師の仕事は美術襖や美術屏風などに幅を広げていきました。現代では、居住空間の洋式化に伴い、床の間のないマンションが増加しています。そのため、表具は床の間だけではなく、壁面を飾るものとして発展しつつあります。このように表具師の仕事は、古くから日本人の生活文化に根付いた伝統的な仕事として今日まで受け継がれています。特に京表具の技術は非常に高い水準を誇っています。

技術掛け軸制作の工程

表具ができるまで

掛け軸の制作には数多くの行程があり、1ヶ月、場合によっては1年以上の期間を要するものもあります。代表的な行程をいくつか紹介します。

1.まずは絵や書などの作品そのものをよく吟味し、これから制作する掛軸の形式を決めた後、裂地〔きれじ〕(※)の組み合わせを考えます。

2.その後、裂地を裁断し、はけで塗らして「水引き」をします。これは裂地が湿度によって伸び縮みするのを防ぐためです。裂地の形に合わせて和紙を裁断し、糊をつけて裂地に貼り、裂地と和紙が馴染むようにはけで付けていきます。裂地と和紙では収縮率などが異なるので、お互いの特性を活かすことが大切です。

3.次に、絵や書などの作品の形を整えて裂地と継ぎ合わせます。これを「切り継ぎ」を行います。左右の端の部分である「耳」を折るなど数行程の後、仕上げでは、掛け軸を巻く際の芯となる「軸」などを取り付けて出来上がりです。

表具でもっとも大切なのは、中の絵や書を最大限に引き立てることです。絵と掛け軸は「主と従」の関係ですから、あくまでも主(絵)が輝くように気をつけなければなりません。

※裂地…特殊な紋織物の事を指します。一文字〔いちもんじ〕・中回り〔ちゅうまわり〕・天地〔てんち〕などの種類があります。

■参考文献・ウェブサイト


おすすめウェブ・サイト

おすすめ本


トップページへ当サイトについてサイトマップ(キーワード一覧)個人情報の取扱についてお問合せ

Valid CSS! Valid XHTML 1.1!