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お中元とお歳暮

読み方:おちゅうげんとおせいぼ
関連語:あいさつ熨斗と水引年賀状と暑中見舞い

お中元とお歳暮の画像

日頃お世話になっている人に物を贈る行為、またはその品物を指します。期間はお中元が7月初旬〜中旬の間、お歳暮は12月中旬〜下旬の間です。二つまとめて盆歳暮などとも呼ばれます。

意味・特徴年二回、日頃の感謝を伝える

一年の盆と暮れに、日頃の感謝の気持ちや健康を気遣う気持ちなどを物に託して伝えます。贈る人の割合が20代以上で9割を越える、かなり定着している慣習です。毎年この時期の一ヶ月ほど前になると、あちらこちらでデパートや大規模なスーパーの宣伝が目に付くようになります。
贈る相手は親や親戚、上司、取引先、仲人だけでなく、お稽古事の先生などに贈ることも多いようです。ただ、取引先や顧客に一律に送るというような、儀礼的な贈り物を禁止している会社もあるようです。また、学校の先生なども受け取ることを辞退する場合が少なくありません。評価を上げてもらうなどの目的を持った品を受け取っても、さして嬉しくはありません。贈り物は、心のこもった思いやりの表現であるからこそ価値があると言えるでしょう。
お歳暮は、一年の締めくくりであるため、お中元よりも重視される傾向にあるようで、どちらか一方贈る場合はお歳暮にしたり、両方とも贈る場合はお中元よりもお歳暮の方が品物の値段をやや高めにすることが一般的です。
お隣の国、韓国でもお中元やお歳暮に似た習慣があり、旧暦8月15日と旧正月に肉類や調味料などを贈るようです。また中国では、旧暦の8月15日には月餅〔げっぺい〕という餡〔あん〕や卵の黄身が入った菓子を、ミャンマーでは10月にお世話になった人に食料品やロンジーという民族衣装を贈ります。

起源・歴史供え物をやりとりする

本来、「中元」とは7月15日のことで、古く中国では上元(1月15日)、下元(10月15日)と共に重要な祭日でした。これは道教の思想に由来します。この3つの元はそれぞれ3人の天神様の誕生日で、人々はお祝いにお供え物をしました。
一方日本には仏教の「盂蘭盆会〔うらぼんえ〕」、つまり先祖供養の行事「盆」があります。この盆には、迎え火や盆踊り、送り火などの様々な儀式があり、その内の1つに「盆礼」があります。これは親や親戚、近所の人々の間で霊前に供える品物をやりとりする習慣でした。盆礼は一部の地域では生御霊〔イキミタマ〕とも呼ばれ、死者を供養すると共に、生きた魂も供養する考え方の下、物品を取り交わしたようです。
これが中国の中元の供え物と結びつき、現在のように盆の時期に贈り物のやりとりをするようになりました。この慣習は室町時代の公家の間で広まり、江戸時代になると庶民の間でも定着しました。
歳暮は、元来新年に年神へ供える物品を、年の暮れに本家や家元に持っていく行事でした。今でも新巻き鮭や数の子などを贈るのは、年神様に供えるお神酒〔みき〕の酒肴に由来するといわれています。これもお中元同様、江戸期に庶民層に普及したようです。

方法・形式・作法無難な食料品が人気

贈る品物は、食料品が多いようです。その内訳は、お中元ではビールが多く、お歳暮では『海産物』『食肉加工品』『日本酒』などが多いようです。食料品は、趣味嗜好が少なく、無難で、無駄になりにくい点が受けているのかもしれません。頂きたいものとしては商品券なども人気があるようですが、贈る側としては、「気持ちが伝わらない」「贈り主の個性が表れない」と思う人が多く、あまり浸透していないようです。また、目上の人に商品券を贈ったり、年配の方に肌着などを贈るのは失礼ととられる場合があるので、注意が必要です。
直接お届けに訪問しない場合、デパート等からの直送便に挨拶状を同封するか、荷物が届くころに合わせて別に書状を出します。送った品物や日時などをその書状に書いておくと、贈られた側が後で誰に何を頂いたか思い出したり、万一何らかの事情で届かなかった場合に有用です。包装には赤・金で蝶結びの水引と熨斗〔のし〕紙をつけます。そして表書きは水引の上側に「御中元」「御歳暮」と書き、中央下にその文字よりは少し小さめに名前を書きます。
当方・先方のどちらが喪中であっても、贈ることができます。しかし、ごく最近に不幸があって先方が気落ちしているなどの場合は時期を遅らせ、「暑中見舞」「寒中見舞」として贈る方が心遣いが伝わります。お返しは礼状のみで良いです。ただ、感謝の表現というより親交を深める意味で友人などから贈られた場合は、同額くらいの物を贈ってお返しとしても良いでしょう。

■参考文献・ウェブサイト


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