餅
読み方:もち
関連語:正月・鏡開き
日本に古来から伝わる食べ物で、もち米を蒸して臼〔うす〕で粘り気が出るまでついて、適度な大きさに形を整えた食品です。独特の粘りと伸びがある食感が特徴で、焼くと膨らみ、煮るととろけます。古くから、正月や節句、季節の行事や祝い事のようなめでたい日に食べる物として現在まで伝えられてきました。今でもその習慣は日本各地に残っています。
日本人の行事に欠かせない食物
餅はもともと正月や祝い事などの「ハレの日」のための特別な食べ物でした。 また、節分や桃の節句、端午の節句などの節句ごとに餅が作られ供えられたり、七夕やお盆、お彼岸などの季節の区切りにも食べられます。このように餅は日本人の生活・行事に欠かせない存在として現在まで伝えられています。 最近では季節や行事に関係なく日常的に餅を食べる事ができます。また、保存の利く袋詰め商品が簡単に入手できることから災害時の非常食として常備する家庭も多くあります。
稲作の伝来と共に伝わった
餅は縄文時代の後期に稲作の伝来とともに東南アジアから伝わったと考えられています。 その当時の米は赤色に近く、比較的餅になりやすい米だったようです。餅が季節・行事ごとに供えられ食されるようになったのは、「鏡餅」が誕生した平安時代からの事です。 この頃から餅は祭事・仏事の供え物として慶事に欠かせない食べ物となりました。室町時代には茶道の発達と共に茶道菓子としても用いられました。 現在でも昔からの名残で正月や節句、季節の変わり目に餅を食べる習慣があり、縁起の良い食べ物として伝えられています。
正月を迎える為の餅つき
1.もち米を研いで、一晩水につけておく 。
2.ザルに上げ、蒸し器で蒸す。
3.蒸し上がったもち米を臼〔うす〕に入れ、杵を使って米をつぶし、水を加えて練る。
4.水を入れて硬さを調整(合取〔あいどり〕)しながら餅をつき、時々餅を返してまんべんなくつくと完成です。
餅つきは昔から正月を迎える大切な段取りのひとつとして、年の暮れの数日間に行われます。 ただし、12月29日は「苦」に通じる、26日は「ろくなことがない」と言われ、その二日間だけは餅をついたり購入するのを避ける風習があります。