琵琶
読み方:びわ
雅楽演奏の為の楽器として中国から伝来した、下ぶくれのナス形をした弦楽器。
雅楽演奏といった器楽の為だけでなく、弾き語り用の楽器としても用いられてきました。 日本には、いくつかの種類の琵琶があり、各々成立した時代や音楽の特徴が異なります。
5種類の琵琶
日本の琵琶は大きく分けると、5つの種類に分けることができます。
・楽琵琶〔がくびわ〕
雅楽の演奏用で、三尺五寸(約106cm)で日本の琵琶の中で最も大きい。
・盲僧琵琶〔もうそうびわ〕
盲目の僧侶がお経を唱えるのに伴奏する琵琶。携帯に便利なため小ぶりなものが多い。
・平家琵琶〔へいけびわ〕
平家物語を語る音楽(平曲)の伴奏に用いる琵琶。琵琶を手に語り物を演じる琵琶法師が用いた琵琶。
・薩摩琵琶〔さつまびわ〕
薩摩の盲僧琵琶から派生した琵琶。薩摩武士の道徳教育の目的で作られたのが始まり。琵琶の中で最も大きな撥〔バチ〕を使うのが特徴。
・筑前琵琶〔ちくぜんびわ〕
明治時代に薩摩琵琶と三味線の要素を取り入れて作られた琵琶。
全ての琵琶に共通して、透明感のある澄んだ音色や、余韻の深い響きを持っています。
雅楽の楽器として伝来
日本の琵琶の起源は西アジアにあると言われています。奈良時代(7〜8世紀)に中国から雅楽の伝来と共に日本に伝来しました。 上記の5種類の琵琶の中で最も古いのが「楽琵琶」と「盲僧琵琶」で、この二つを基礎に5種類に派生していきました。 現在もっともポピュラーに演奏されている琵琶が、「薩摩琵琶」・「筑前琵琶」です。
絹の弦を押さえて
胴の裏板は主に栗材・カリン材が使われています。弦は絹のものが使われています。
扇形の撥〔ばち〕を用い、弦を弾いて演奏します。
フレットが高く、ギターのようにフレットの上を押さえて音程を変えるのではなく、フレットとフレットの間の弦を押さえて音程を変えます。
■参考文献・ウェブサイト
- 『日本音楽大辞典』 平野健次・上参郷祐康・蒲生郷昭 平凡社 1989
- 邦楽百科辞典―雅楽から民謡まで 吉川英史 音楽之友社 1984
- ひと目でわかる日本音楽入門 田中健次 音楽之友社 2003
- 『田中之雄 - 琵琶 幽玄世界』(2004.7.1)
- biwagaku.com『琵琶楽』(2004.7.1)