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越前和紙

読み方:えちぜんわし
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越前和紙の画像

産地:福井
中世の武家支配の時代、主君が臣下に出す命令や伝達を近侍者がしたためて発行する「奉書」という書式がありました。この「奉書」の公用紙として、最もよく使用されてきたのが越前和紙です。楮の繊維だけで漉く「生漉奉書」は、表面がなめらかで上品な光沢を持ち、手ざわりもよく丈夫であったため、最上の奉書紙として知られました。

用途・特徴5種類の用途

現在の越前和紙は、名刺から大紙まで多種多様な紙を生産しています。それらは、用途別に大きく「奉書紙」「画仙紙」「美術小間紙〔びじゅつこまがみ〕(※1)」「局紙〔きょくし〕(※2)」「襖紙〔ふすまがみ〕」の5種類に分けられます。楮100パーセントの生漉奉書は、なめらかで光沢がある上、繊維が丈夫で何度バレンでこすっても紙の表面が荒れることがないため、現在では木版用紙などに使われています。

※1『美術小間紙』…装飾用に加工した紙。
※2『局紙』…紙面につやがあり、証券の印刷などに使用する。

起源・歴史5つの里、五箇

越前和紙は現在の福井県今立町にある5つの里(不老、大滝、岩本、新在家、貞友)であり、昔から「五箇〔ごか〕」と呼ばれてきました。五箇は山間の狭い谷あいにあって、田も畑もほとんどありませんでしたが、和紙の原料となる楮や三椏、雁皮などの樹木と、良質な水に恵まれていたため、人々は古くから和紙づくりを生業として営んできました。加えて京都に近いという地の利が、その技術をいっそう磨きあげてきたといえます。

原料・漉き方3段階に分けて製造

越前和紙は主な原料に楮、三椏、雁皮を使用します。ネリにはノリウツギ(ユキノシタ科の落葉低木で、山地に生える)やトロロアオイを使いますが、漉く紙の種類に適したものを使います。混ぜて使用することもあります。

越前和紙の生産工程は、「煮沸」「叩解〔こうかい〕」「抄紙〔しょうし〕」の大きく3段階に分けられます。
煮沸とは繊維質を抽出しやすくするために原料を加熱処理すること、叩解とは繊維質をたたいて分解すること、そして抄紙はその繊維をもとに紙を漉いていく作業です。各工程は、業者間で分業されることもありますが、1つの企業内ですべてが行われることもあります。

また、主な技法に流し漉きと溜漉きの二種類があります。金網を張った桁の上に紙料をすくいあげ、前後左右に揺り動かして繊維を絡め合わせる溜漉きは、証券や賞状、はがき、名刺類の製造に用いられています。

■参考文献・ウェブサイト


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